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ホーム島を旅する男木島:大島よしふみさん・ちいさん

男木島:大島よしふみさん・ちいさん

男木島



「芸術祭の時は、みんなよう頑張った」「誰かが寝込むと思っとったけど、誰も寝込まんかったなあ」。島のおばちゃんたちと瀬戸内国際芸術祭の思い出話をしているのは、芸術祭の参加アーティストだったオンバ・ファクトリーの大島よしふみさんと奥さんのちいさん。芸術祭が終わった後も週末は島で暮らし、活動を続けています。


男木島を巡る楽しみは、迷うこと。心のままに路地を歩けば、思いがけない風景や人との出会いが待っている。「まずは港から豊玉姫神社をめざして、坂道をのぼる。そして時々、振り返る!これが自分だけの男木島を見つけるヒント」と大島さんとちいさん。「迷ったら、坂を降りて行けば必ず港に戻れるから大丈夫」。

オンバとは、手押し車のこと。野菜を運んだり、荷物をのせたり。坂道の多い男木島で暮らすおばちゃんたちの必需品です。大島さんたちオンバ・ファクトリーのメンバーはそのオンバを修理したり、新しくペイントするなどして、おばちゃんたちに世界でひとつのマイオンバを制作してきました。ちなみに芸術祭の思い出話をしてくれた愛子さんと史子さんも、マイオンバを所有。「こういうものが欲しいとお願いしたんですか」と聞くと、「どんなんでもかまんって言うたよね」とお二人。すかさず大島さんが「みんなかまんって言うけど、それが一番困った(笑)」。「かまん」というのは、讃岐弁で「かまわない」。どうやら「かまん」と言いつつも・・・。

一言でオンバと言っても、使い方はみんな違います。載せるものも違うし、集落の上の方に住んでいる人なら、荷物もたくさん運べてかつ軽いオンバがうれしいし。マイオンバを作ってくれるなんて、おばちゃんたちにとったら初めてのこと。話している間に「こうしたい、こんなのが欲しい」と、いろいろな思いが浮かんでくるのもわかるような気がします。そんな一人ひとりの思いを受け止めながら、オンバは制作されました。

芸術祭への参加を決めたときから、「芸術祭が終わったら撤去するような作品は作らない。島の人の役に立つもの。生活のなかでずっと使ってもらえるものに取り組みたいと思っていた」という大島さん。

港で、坂道で、軒先で、男木島を少し歩くと、たくさんのマイオンバに出会います。
どのオンバもどこかうれしそうに見えて。大島さんとちいさんが話してくれた言葉をふと思い出しました。「男木島に惹かれる人は、男木島に呼ばれた人なんだよ」。


男木島のきれいな夕日

男木島はどの家の窓からも、本当にきれいな夕日が見える。それでも島の人はみんな「玉姫さん(豊玉姫神社)から見る夕日が一番」と語る。

「おばちゃんの日常が僕たちには面白くて。話を聞くことが毎日楽しい」と大島さん。男木島に来るまでは、人と話をすることが苦手だったというちいさんは、男木島に来てから自然に人と話ができるように。「さあ、おいでって、おばちゃんたちが手を広げて迎えてくれたような気がしたの」。島を訪れた人をやさしく受け止めてくれる、おばちゃんたちの素敵な笑顔。

高松と男木島を結ぶ「めおん号」もオンバに!「大変なのは納車の時。道を考えて持っていかないと、男木の道は急に階段になるから(笑)」。

取材中、たくさんの島の人が、大島さんとちいさんの元へ。その姿は、すっかり男木の人。大島さんたちはもう芸術祭のために島を訪れたアーティストではなく、一人の人間として男木島と向き合っている。


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